便秘

排便」の悩みは、人に相談しづらくデリケートな部分ですよね。年齢を重ねるごとにその割合が増えていくのも特徴です。

そもそも、排便がないのはいけないことなのでしょうか。

人は毎日食事を摂取しています。そして、胃や腸で消化され吸収されなかった不要なものを便として排泄しています。

しかし、便秘のため便が排泄されないと、腸内で便に含まれている水分が再吸収されてしまい、ますます出にくい硬めの便になってしまったり、腸内の悪玉菌が増加し、ますます腸内環境が悪化してしまったりと悪循環に陥ります。

そこで今回は、便秘の解消方法と予防についてお話します。

まずは、便秘とはどのような状態かについて解説します。

共通の便秘の定義というものはありませんが、日本内科学会では「3日以上排便がない状態、または毎日排便があっても残便感がある状態」としています。

また、慢性便秘症診療ガイドライン2017によると、「本来体外へ排出すべき糞便を十分量かつ快適に排出できない状態」と定義されています。

排便の回数が少ないというだけでなく、不快感や残便感があるというところも含めて便秘とされています。

便秘を訴える人の割合は、男性よりも女性が多いです。

年齢とともに割合は増え、80歳以上になるとその割合は男女共10%を超えて男女差がなくなってきます。

高齢になるにつれて増加する理由としては、筋力低下や食欲の低下・薬の副作用や便意の感じにくさなどがあります。

普段便秘に悩んでいるという10代~60代男女100人へのアンケート調査の結果、毎日排便はないと答えた方は半数近くになりました。また、1日おきが16%、2日おきが14%となる一方で、さらにそれより少ない頻度だと答えた方が22%にものぼっています。

生活習慣や食生活の乱れからくる便秘であればそれを改善していけば良いのですが、消化器疾患や内科系疾患など自分だけでは改善できない場合もあります。

その場合適切な治療が必要になってきますので、自己判断で済ませずに医療機関での相談をお勧めします。

そもそも、便意はどのようにして起こるのでしょうか。

私たちが食べたものは、胃や小腸で消化され、水分を多く含むドロドロの液状で大腸に入ります。そこでゆっくりと水分が吸収されることで固形化し、次第に便の形になって肛門へ送られます。

この時、便が何日間も腸の中にあると、便の水分が腸壁に過剰に吸収されてしまうため、便がカチカチの状態になって、硬く小さい状態になります。

これが「弛緩性便秘」の状態です。

では、便が肛門に到達すると、どのようにして便意が起こるのでしょうか?

腸の動きは、自律神経によって支配されています。大腸はぜん動運動を起こすことによって、便を体外へ送り出すのですが、このぜん動運動が始まるきっかけとなるのは、私たちが何かを食べたり、飲んだりして胃に物が入ったとき。つまり、私たちが食事をして、胃に物が入ると、その刺激をきっかけに大腸のぜん動運動が始まるのです。

これを、「胃・結腸反射」と呼びます。

そして、大腸の中のS字結腸に届いた便は、次に直腸へ送られます。すると、便が直腸の壁に押し付けられ、その刺激によって、肛門にある内肛門括約筋が緩みます。

同時に、大脳に「便がきた」というサインが伝わり、大脳が「便を出しなさい」という指示を出します。排便する準備ができると、内肛門括約筋の外側にある外肛門括約筋が緩み、排便します。

これが、便意が起こって排便するまでの仕組みです。

便秘とサヨナラしたいと思ったら、まずは、食事や就寝、起床の時間を一定にそろえることが必要です。

また、日常的にストレスを感じている人も、自律神経のバランスが乱れやすくなり、腸の働きが鈍くなってしまうことが多いので注意。

ストレスをためず、心身ともに規則正しい生活を送ることが、便秘解消の第一歩なのです。

便秘はとても一般的な症状です。

特に男性に比べて腹筋が弱い女性は便秘が多く、日常的に便秘薬を使用している人も少なくありません。しかし、便秘は生活習慣を見直すことで、ある程度、改善することができるのです。

「便」は漢字で、「便り(たより)」と書く通り、「健康の良い“お便り”」です。

毎日スッキリ、気持ちよく便を出すことができるように、できることから生活習慣を見直してみましょう。